Raitt, Bonnie

streetlights.jpg 前からちゃんと聞きたいと思っていたが、1枚もアルバムは持っていなかった。先日ラジオでかかっていたAngel from montgomeryがあまりにいい曲だったので、この曲がおさめられているアルバムを購入した。それ以来この曲、ヘビーローテーションである。

 R&Bの姉御として、渋いギタープレイを聞かせてくれ、90年にグラミー賞を受賞してからはその迫力にますます拍車がかかるとともに、円熟味をみせているBonnie Raittだが、このアルバムはなんと全編ヴォーカルアルバムである。その意味では特殊なアルバムなのかもしれない。豪快さや颯爽としたところもないまろやかなアルバムだが、だからと言って決して悪いアルバムではないのは、取り上げている曲がすばらしいからだ。

 プロデューサーはJerry Ragovoy。60年代の有名なプロデューサーとのこと。このあたりの人脈をもっと知らねば・・・。

 1曲目、2曲目はジョニ・ミッチェル、ジェームス・テイラー。そして3曲目にAngel〜がかかる。これはJohn Prineの曲。このミュージシャンもアルバムを聞いたことがないのだが、小尾さんのSongsでは、この曲の歌詞もひきながら紹介されている。たそがれ感がただよいつつも、大地にしっかりと根ざした確信がひしひしと伝わってくる名曲だ。

 このアルバムが必ずしもBonnie Raittのアルバムである必然性はないのかもしれない。それほど切実な歌い方ではないし、この時代の才能ある女性ミュージシャンならば多かれ少なかれアプローチしていた方法だと思うからだ。アメリカのルーツを意識しながらもあくまでもポップ。とはいえAORにはならず。趣味のよいストリングスが入り、スタジオ・ミュージシャンによる粋なアレンジの上に、ヴォーカルがかぶさってくる。

 ただここに歌われている曲は、彼女がとりあげたことで、よりいっそうこれからも歌われ続ける、歴史に埋もれたりはしない名曲であることを確信させてくれる。とにかく曲が生き生きしているのだ。結局はアルバム通して一気に聞いてしまえるご機嫌な音楽なのだ。