研究会2

テーマ:言語と思想、言語と芸術
開講日程:2020年度 春学期 金曜日4時限
担当教員:國枝孝弘
使用言語:日本語
授業形態:ディスカッション
履修者選抜:【受入予定人数】15人
3月6日(金)までに志望理由書を担当者までメールで送付
理由書に含める項目
・研究テーマ
・その研究テーマについて、これまでだれがどんなことを言ってきたか。
・そのテーマを自分自身が研究することによって明らかにしたいこと。
・研究テーマ以外に自分が興味を持っていること。

連絡先
研究会Webサイトhttps://kunieda.sfc.keio.ac.jp/(当サイト)

概要
「芸術はこの私たちの生活世界をどのような新しい相貌のもとで示してくれるか」。研究会の根底にあるのはこの問いです。芸術作品がこの「新しさ」を持ちうる限りにおいて、芸術作品自体の「古さ・新しさ」は問題になりません。芸術は、それに接する人間によってたえず命を吹き込まれる存在です。
 芸術作品が、私たちの認識を更新してくれる限りにおいて、芸術は決して私たちが生きているこの世界と切り離されたところに存在することはありません。私たちが当然とみなしているこの世界に、根本的な疑問を投げかける契機となるもの、それが芸術作品です。
 この研究会は、芸術と人間と世界の関係のありかたを探究していくことを目的とします。とはいえ、抽象的な言語遊戯や、単なる趣味のおしゃべりでは研究となりません。自らの関心対象を具体的に定め、歴史的、社会的文脈にきちんと置くとともに、作品の細部に至るまで丁寧に分析、考察することが求められます。またその考察の結果を、厳密でありつつも、他者と共有できる平明な言葉を用いて、表現することが、大学という場所では大切になります。
 この人間の芸術創造を広く探究していこうと考えている人のための研究会です。

 具体的には次のようなアプローチの研究を行うことができます。

表象論:文学作品や、絵画にこめられている文化的文脈や、作品を創造するにあたっての表現・技法の問題を扱う。
物語論:人間の持つ世界の意味付けという能力を通して、人間の世界認識のあり方を考える。
言語思想論:記号論や、意味論などの枠組みを通して、特に文学テキストを分析する。
芸術論:人間の想像力、精神のあり方を芸術作品を通して探る。 特に時代と切り結ぶ芸術のあり方を考える。

 研究会は次の二つの活動からなります。

1. 個人研究
2. 共通テーマに基づく輪読

1.は各自の興味のあるテーマを選んでもらい、別記の評価方法にのっとって研究を進めます。2.は共通のテキストを輪読することによって、人文科学の分野における素養を身につけることを目的とします。

19年秋学期履修学生の卒プロ2の研究テーマは以下の通り
・福島とドキュメンタリー映画
・不条理演劇と現代
・LGBTと揺らぎの表現
・現代アニメ映画におけるシュルレアリスム技法
・家族の関係性を表象する

2020年春学期の活動
・4月10日(金)プレセッション第1回

・4月17日(金)プレセッション第2回
「驚きをテーマに自己紹介」
デカルト『情念論』より
「なんらかの対象と初めて出会うことで、わたしたちが不意を打たれ、それを新しいと判断するとき、つまり、それ以前に知っていたものや、あるべく想定していたものとははなはだ異なると判断するとき、わたしたちはその対象に驚き、激しく揺り動かされる。それは、対象がわたしたちに適したものかそうでいないかまったくわからないうちに起こるので、驚きはあらゆる情念のうちで最初のものと思われる。しかも、驚きには反対の情念がない。現れる対象のなかにわたしたちの意表を突くものが何もなければ、わたしたちはまったく動かされず、情念なしにそれを見つめるからだ。」

1. 「驚き」とは、人間と世界の関わりにおいてどのような意味を持つだろうか?
2. みなさんの研究の始まりにおいて、どのような「驚き」の体験をしたか?
→セッション開始までに書いたものを準備して、LINEに投稿(通信が途切れたときのカバー用かつ教員用:教員は学生が自己紹介をしている間にそれを読んで、適宜コメントを返していく)

・4月24日(金)プレセッション第3回
「他の人の自己紹介へのコメント」
前回グループワークをした学生以外の研究について、assignementに載せられた文から選んでコメントをする。自分の研究とこんなところが関係している、今まで知らなかったので「発見」があった、これはどういう意味なのだろうもっと知りたい...。などなど。

第1回 :5/1 マルセル・プルースト「読書について」(集英社文庫版「スワン家の方へ I」p.188.)
「本を読んでいるあいだ中、内部から外部へ、真理の発見へ、と不断の運動を行なっているこの中心的な信頼につづいて、次にくるのは、自分もそこに参加している筋の運びが与える感動だった。というのも、このような読書の午後は、しばしば人の一生より多くの劇的な事件に満ちていたからだ。それは読んでいる本のなかにあらわれる事件だった。なるほどその事件にかかわる人びとは、フランソワーズのいうように、「本物」の人間ではなかった。しかし、本物の人間の喜びや不幸が味合わせる感情も、そうした喜びないしは不幸のイメージを通してでなければ、私たちの心のなかに形成されることはない。最初に小説を書いた人の巧妙なところは、人間の情動の装置においてイメージが唯一の本質的な要素である以上、本物の人間をきれいさっぱり消し去ってしまうという単純化こそが決定的な完成となること理解していた点にある。一人の現実の人間は、どんなに私たちがその人と共感しようとも、その多くの部分は感覚で知覚したものであり、つまりこちらには不透明なままで、私たちの感受性には持ち上げることのできないお荷物になっている。」
1. 「芸術に触れる(ここでは小説の読書体験だが)」とは私たちにとってどのような意味をもつ体験なのか?
2. みなさんの研究において、フィクションと現実はどのような関係をもつか。フィクションとは仮構、ないしは自然界にはないものを人間の手でつくりあげた創造物そのものを広く指すこととする。
グループでディスカッションし、その後、各グループの話した内容をもちよる形でグループを編成しなおし、ディスカッションの内容をまとめる。

第2回 :5/8 ・児玉さん、星さんの卒論進捗

第3回 :5/15 野家啓一「不在のものの可視化 - 物語り行為をめぐって」
1. (1〜5)言語行為において、嘘などの不在なものを語る機能は、私たちが現実を生きる上でどのような意味をもつか?
2. (6〜9) 言述内容と言述行為のずれとそのずれがもたらす可能性について
3. (10〜12)読みと解釈の可能性はどのような条件のもとに生じるか?
4. これまでみなさんが考え、語ってきたことが、この論文の中で紹介されている理論によってよりクリアに説明できるところはあるか?

第4回:5/22 卒論計画発表
石井、寺原

第5回 :5/29 卒論計画発表
武田、黒瀬

第6回:6/5  卒論計画発表
薄、浅倉

第7回:6/12  平田由美「非・決定のアイデンティティ」
1. 「マイノリティ」という語がもつ可能性と危険性。特プロのテーマが「マイノリティについて考える」でした。この強いコノテーション(私たちが間接的にこの語から抱くイメージ)を持つ語を用いて、物事を考えることの可能性と危険性を考えたい。

2. 「在日」から考える当事者性と共事者性。黒瀬さんの発表と関連づけて、この論点を提出してみました。

3. 「移動」は、アイデンティティの変容のための必要条件か?この問いは、僕から論者への疑問点として提出してみました。在日、チカノ、クレオールなどは、きわめて高い移動によって生じたものであるが、こうした移動がなければ、変容は生まれないのか?この論点は、薄くんの発表にあったまさに「非・決定」ともかかわります。つまり非・決定は、脱領土化(あるいは流動化)しないと、得られないものなのか?という点です。

第8回:6/19  研究計画発表
朴、石嶋

第9回:6/26  研究計画発表
篠田、武内

第10回:7/3  研究計画発表
川口、上田

第11回:7/10 
卒論最終発表

第12回:7/17 
グループディスカッション


過去の活動

 輪読テキスト

2020年度(秋学期)
ロラン・バルト「作家と著述家」
大江健三郎『新しい文学のために』
山内宏泰『写真を読む夜』
三浦哲哉「毒とリハビリ」

2019年度(特別研究プロジェクト)
・雨宮処凛『この国の不寛容の果てに』第1章、第2章
・最相葉月『れる・られる』第1章「生む・生まれる」pp.1-28.
・平田由美「非・決定のアイデンティティ」(『脱アイデンティティ』第5章)
・生田武志『いのちへの礼儀』前編VI「動物の福祉(Animal welfare)・動物の解放(Animal Liberation)
・小手川正二郎「反出生主義における現実の難しさからの逸れ 反出生主義の三つの症候」

2018年度
夏目漱石「模倣と独立」(岩波文庫)
ウンベルト・エーコ『開かれた作品』第1章「開かれた作品の詩学」(青土社)
ケンダル・ウォルトン『フィクションとは何か』(名古屋大学出版会)
ウォルター・ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」(晶文社)
佐藤真「写真の磁力 牛腸茂雄の<不在>を撮る『SELF AND OTHERS』(『日常と不在を見つめて ドキュメンタリー映画作家佐藤真の哲学』里山社)

2017年度
東浩紀『ゲンロン 0 観光者の哲学』第5章「家族」
藤田淳志「エイズ・アクティヴィズムから結構の平等運動へ アメリカ演劇を通して」(『たたかう LGBT&アート: 同性パートナーシップからヘイトスピーチまで、人権と表現を考えるために』第5章)
柳宗悦『工藝文化』
中西正司・上野千鶴子『当事者主権』(岩波新書)
信田さよ子『それでも、家族は続く』(NTT出版)
岡本太郎『日本の伝統』(みすず書房)
毛利三彌『演劇の詩学 劇上演の構造分析』(相田書房)
ジャン=リュック・ジリボン『不気味な笑い』(平凡社ライブラリー)
やまだようこ『喪失の語り』(新曜社)
藤原帰一『戦争を記憶する』(講談社現代新書)
M.H. エイブラムス『ポスト構造主義との対話』(平凡社)
うてつあきこ『つながりゆるりと 小さな居場所「サロン・ド・テこもれび」の挑戦』(自然食通信社)

2016年度
岡田暁生『音楽の聴き方』第2章
ミシェル・シオン『映画にとって音とはなにか』
井上ひさし、成田龍一、川村湊「井伏鱒二『黒い雨』を読む」(『戦争文学を読む』、朝日文庫、所収)
幸津國生『古典落語の人間像ー古今亭志ん朝の噺を読むー』
スベトラーナ・アレクシェービッチ『チェルノブイリの祈り』
レベッカ・ソルニット『災害ユートピア』
吉村萬壱『ボラード病』
島尾新『すぐわかる水墨画の見かた』
鷲田清一『素手のふるまい』
鷲田清一『「聴く」ことの力』

2015年度
鶴見俊輔『限界芸術論』
スーザン・ソンタグ「戦争と写真ーアムネスティ講演」、「エルサレム賞スピーチ」(『この時代に想う テロへの眼差し』)
青山昌文「アリストテレス芸術哲学」(『芸術史と芸術理論』放送大学、所収)
井上ひさし「ユートピアを求めてー宮沢賢治の歩んだ道」(『この人から受け継ぐもの』、岩波書店、所収)
ジェラール・ジュネット「5 パフォーマンス」(『芸術の作品』所収)
岡田暁生『西洋音楽史』第7章「二〇世紀に何が起きたのか」
松浦寿輝『平面論』「序章 表象空間の地滑り」、「5 <枠>あるいは「イメージ」の自意識」
大江健三郎「方法としての小説」(『小説の方法』所収)
多木浩二『眼の隠喩』
中平卓馬『見続ける涯に火が...』
倉石信乃「写真史へのコメント」(『スナップショット 写真の輝き』、大修館書店、所収)

2014年度
多木浩二『シジフォスの笑い アンセルム・キーファーの芸術』第2章「芸術と歴史」
エミール・バンヴェニスト「言語における形態と意味」(『言語と主体』所収)
北村清彦「受け手の役割」(岩波講座『哲学』第7巻『芸術/創造性の哲学』)

2013年度
持田季未子『生成の詩学』
ジェラール・ジュネット『芸術の作品』(第1章)
小林秀雄「美を求める心」

2012年度
大江健三郎『小説の方法』
ハンナ・アレント『人間の条件』
ミハイル・バフチン『小説の言葉』(第1章, 第2章)
ウンベルト・エーコ『開かれた作品』

2011年度
田川健三『宗教とは何か』(大和書房)
青山昌文『芸術史と芸術理論』(放送大学)
池上嘉彦『詩学と文化記号論』(筑摩書房)
ガストン・バシュラール『空と夢』(法政大学出版局)

2010年度
ミラン・クンデラ『小説の精神』(法政大学出版局)
中井正一『美学入門』(中公文庫)
江藤淳『作家は行動する』(講談社文芸文庫)

2009年度
岡田隆彦「虚偽を捨て去れ」『芸術の生活化』(小澤書店 1993)
ガストン・バシュラール『夢想の詩学』「第三章 幼少時代へと向かう夢想」
ジャン=ポール・サルトル「書くとはどういうことか」(『文学とは何か』)
大江健三郎『小説の経験』(朝日新聞社)
野家啓一『物語の哲学』(岩波書店)
ヴァルター・ベンヤミン「パリー十九世紀の首都」、『ベンヤミン・コレクション1』(ちくま学芸文庫)
マルティン・ハイデガー『芸術作品の起源』

2008年度
大江健三郎『新しい文学のために』
岡田隆彦『危機の結晶』
篠田浩一郎『形象と文明』
ジャック・デリダ『生きることを学ぶ、終に』
柳田國男「ウソと子供」、「小さき者の声」
青山昌文『美と芸術の理論―世界再生のミーメーシス美学―』
高階秀爾『ピカソ 剽窃の定理』
ロラン・バルト「作家と著述家」(ロラン・バルト著作集5)

過去の研究成果

 卒業制作

2022年度
上田優芽奈「愛着から得られる癒しについて - 生きづらさの時代をぬいぐるみとともに生きる」
渡邊優唯「ポストメディア時代の身体 - 安部公房文学に表れる身体と対応させての考察 ー」

2021年度
浅倉日向子「生きづらさ、ほどき - 創ることと応答がなされる過程 -
石嶋絢「重松清作品と子どもの孤独とつながりー小説には何ができるのかー」
黒瀬菜帆「〈移動〉から紐解くヒロシマと人びとの関わり ーこれまでとこれから̶」
児玉愛「「戦争を体験していない世代は戦争から何を継承するのか? ー 開かれた継承、揺らぎ、可能性」
篠田菖子「こころを「すくう」機能としての文学 ̶わたしと「くるい」の曖昧な境界」
武内湧真 「村上春樹と乖離 」
朴鐘洙「類型と幸福 ~現代韓国作品に表象される構造と物語~」

2020年度
秋田勇魚「良い演奏とは何か ー音楽を表現する言葉を求めてー」
石井愛莉「写真と日常の断片」
薄雅也「他者への責任と暫定的な決定-- ドキュメンタリーにおける倫理と制作 --」
児玉理子「少女マンガにおけるフェミニズムの可能性 ~『愛すべき娘たち』を主題にして~」
武田隆佑「現代的メランコリーと救済 ̶ デカダンス、ニヒリズムと芸術̶」
寺原侑希「クリストファー・ノーランと時間」
星えり菜「ミュージカル劇にみる「逸脱」 - 切実さの再考 -」
JANG YOUNGJAE「『Blade Runner 2049』のUncannyと生命-イメージ :Digital ImageとPost humanismの関係」

2019年度
阿部梨華子「家族とは何か − 震災を契機に生起する問いをめぐって − 」
安藤生葉「フクシマの『パーソナル・メモリー』を分有する −ドキュメンタリー映画は国家の記憶に穴を開けられるか −」
角井泰恵「シュルレアリスムの観点から見る現代日本映画の可能性 − アニメ映画に焦点をあてて −」
小杉山立夏子「<不条理の覚悟> − 哲学・演劇・コメディがもたらす生への眼差し −」
境大軌「現代における個人とセクシュアリティの関係性 − マイノリティ/マジョリティによらないセクシュアリティ表現 −」

2018年度
有元 優喜「現代日本文学における実存的不安 ー疎外された者から見た20世紀日本社会の精神史ー」
河崎 詠万「クリエイター生態論 ーハイカルチャーに依らない文化の台頭ー」
下村 りさ子「野田秀樹の演劇にみるエンターテイメント性と社会性 ー現代演劇における問いの可能性ー」
但野 仁美「語られない遺族の悲嘆を描く ー映画から考察するフィクションの可能性ー」
横山 友紀「『子どもの貧困』のなかの表現ー居場所における人と人との関係性を見つめてー」
渡邊 晏夏 「お笑いライブのすすめ ーネタ・観客・劇場空間の構造分析からー」

2017年度
中村英「子供の孤独と解放ー映画における教育不在の表象」
竹澤亜矢子「LGBTの揺らぎの表現」
六川慧美「工芸の用における美」

2016年度
有田いず美「落語の<型>と登場人物の<業>の普遍性」
小野高志「音楽の先在的価値体系の解体ー開かれた聴取が導く音楽の多様性ー」
阿部純子「井上ひさしの喜劇とは 〜チェーホフの戯曲をもとに〜」
加藤真希「絵画における自由と解放」
上江洲仁美「素朴絵画─生命感という内在性を表現する絵画─」
小野亮「震災後文学のナラトロジー--5年間の物語言説の体系化--」
久保田瑛「障害者の社会的排除問題に関する芸術の役割と課題NPO法人クリエイティブサポート・レッツの実践検証を通じた一考察」

2015年度
湯本愛「写真による既存認識の更新―写真の中の世界と、自らの日常に見出す新たな関係性」
吉田将梧「エクリチュールにみる<現実>と<異世界>の往還 人間らしさを汲み取る文学的体験の考察」
山田希美「芸術作品の身体性とその表現におけるまなざしー空間芸術を中心にー」
竹内真理「悲劇にみるドラマの劇的構造」
石堂未夕「涙の表象」
遊馬奈歩「現実と意味の変容ー或は写真画面の不完全性についてー」

2014年度
高本友子「当事者と他者をつなぐ芸術」
道正友里「堀辰雄の生命感」

2013年度
宮嶋 歩『パフォーマンス ー ムーブメントによる抑制感情の外化と感情移入による生の実感』
小池貴彦『故人/社会との関係性を結び直す死別の文学表象』
小林光『シュルレアリスムにおける潜在的意図性』
佐々木朋子『誠実なものづくりを契機とする美的生活の実践』
飯島輝華『歌舞伎舞踊と「狂う」役者』

2012年度
佐藤綾香「幸福感と飢餓感の考察ー他者を意識する利他的幸福の追求ー」
渡辺佳奈「ゼロ年代の四人の映画作家たちー「観察としての映画鑑賞」によって省みる「日常の多層性」ー」
飯尾あすか「芸術による食観の刷新」
中村玲菜「自己語りのことばー言語に対する主体性獲得のための<対面のことば>ー」
伊東ひな子「ポピュラー音楽の受容と消費」
森川晃輔「かたちの詩学」
影山聡子「人間の表層に現れる固有性を通した魅力の再考」

2011年度
豊島晴香「戦争芸術-描かれる生死への眼差しから取り戻す、命あるものとしての他者-」
勝間田美波「動物の権利:ピーター・シンガー批判から考える現代社会における動物と人間の関係性」

2010年度
宮原万智「コンタクト・インプロヴィゼーション が持つ可能性 - 「接触」が齎す「生」の実感と「他者」との交感 - 身体芸術をコミュニケーションに生かすための分析と考察」
岡本彩「自我像画に見る自己表現」
山本梨央「現代日本における仏像の受容」
山崎誓子「祭りの魅力を引き出す「祭り性」の四要素 -脱日常性・無秩序性・主客転換性・交感性- とその成立条件について」
青木晶「(自由・孤独・愛)を知り、(じぶん)を知るーシェル・シルヴァスタインによる「大人のための絵本」を通じでー」
鎮目萌「音楽のオリジナリティと土着化現象」
柏崎巴瑠香「グレゴール・シュナイダー、クリスチャン・ボルタンスキーを通して見る死の表象―新しいメメント・モリのかたちを探る」

2009年度
吉村明華「生活文化の伝統化~若手アーティストたちの挑戦~」
笠原悠「マンガ存在論ー受容からみるマンガの独自性」
佐藤善子「フランスのコンセルヴァトワールのアマチュア音楽教育 ~ニースのコンセルヴァトワールを事例に~」
千原由衣「今を受け入れることで広がる可能性~自己を知る手段としての対話」

2008年度
冨樫悠『文字の詩学ー文字の『遊び』と人間』
岡田佳奈『飛行の詩学ーパナマレンコのめざした«空中»』
吉田泰基『公園の理想像〜イギリスにおけるパークの成立を事例に〜』
大澤優貴『シュタイナー教育ー思想と実践、及び今日的な意義』

2007年度
生塩曜『C. ドビュッシー 《牧神の午後への前奏曲》における伝統と革新 ―主題の不定性を通して見る形式と調性の概念―』(岩竹徹研究会)
伊藤敬佑『児童文学とは何か―「子ども性」による児童文学の意義提示』(古石篤子研究会)
関あゆみ『サルヴァドール・ダリの中期作品におけるメッセージ性について』(パトリス・ルロワ研究会)
一之瀬秀美『写真論:写真を読む、写真を旅する』(三宅理一研究会)
※秋学期サバティカルのため春まで指導。実際の制作は( )内の教員の指導のもとで行なわれた。

2006年度
花房太一『国際展とその主催者をめぐる問題 - La force de l'art展覧会を事例に』
倉橋結花『20世紀におけるファッションモードの変遷と女性の変化』

 修士論文

2020年度
中村英『認知症患者の介護をめぐる家族の複層的関係性ー現象学的質的研究による認知症介護を経験した家族成員に関する記述』

2006年度
内村尚志『オクタビオ・パスの思想を貫く個と普遍性の問題 - 近代における革命と詩作の意味をめぐって』
押川淳『鮎川信夫研究 作品における「語り手」と構造から』

2003年度
長谷川善威『アルベルト・ジャコメッティ後期彫像群におけるプリミティヴィズム』

更新日: