Faces

Faces, Long Player (1971)

long_player.jpg 深夜にすっかり酔っぱらっているのに、まだまだウイスキーを飲みたいときに聞きたいもっとも最高のバンドといえば、もうこのフェイシズ以外には考えられない。なぜロニー・レインのしぶい曲をここまでロッドが歌い込めるのか。その一点だけでロッドは天才ヴォーカリストだ。と同時に、不器用な連中のなかにあって、ロッドだけがスター街道を歩めたのはいったいなぜなんだろうという疑問もわく。バンドの仲が悪かろうと、ぐだぐだだろうと、こうしてレコードに刻まれた音は、このバンドが最高に「イカしたイカれたバンド」だとわかる。

 一曲目のひずんではじけたギターのリフがまず最高。ロッドの疾走感あふれるヴォーカルにおもわずこちらもシャウトしたくなるご機嫌な一曲。さらにファンキーなオルガンとスライドギターが重なり、聞き所が多い。そして二曲目は、Ronnie Laneの名曲Tell Everyone。この曲のTo wake up with you / Makes my morning so brightという何の変哲もない歌詞がなぜだかLaneの心持ちを表している気がしてとっても好きだ。三曲目はロッドの泣き泣きのヴォーカルに思わずしんみりしてしまう佳曲。四曲目はLaneのヴォーカルによる家畜の匂いただようほのぼのカントリーソングだ。

 B面の一曲目も適度にひずんだギターから始まり、そこにピアノが重なってくる始まり方がまたまたかっこいい。しかもサビの部分のロッドのシャウトの濃密感がたまらない。その勢いがそのままピアノやブラスバンドへ流れこむ展開に実に圧倒される。そして最後はRonnie Woodのボトルネックギターに聞き惚れながら、アルバムが終わり、完全にボトルが空になる。

 ライブが二曲収められていたり、アルバムのトータル感などあっさり無視しているかのように、雑多な曲が並んでいるが、でも楽器をもたせたら最高の連中がそろい、しかもそこにロッドがヴォーカルをとるわけだから、これはもう無敵です。