McGuinness Flint, McGuinness Flint (1970)

mcguinness_flint.jpg 自分の来るべき葬式のためにBGMを編集しておかなくてはとつくづく思っているのだが、ついに決定的な一曲に出会った。McGuiness FlintのWhen I'm dead and gone(M君、O君よろしく)。何年か前に、1st, 2ndのカップリングを見つけ購入したのだが、あんまり本腰を入れて聞いてなかったらしい。

 ロニー・レインと一緒に音楽活動をしていたギャラガー&ライルも参加しているこのバンドは、キンクスに象徴されるような英国牧歌ロックの代名詞のようなバンドである。

 先日のカックルさんで一曲かかっていて(2曲目のBodang Buck)久しぶりに聞き直したら、When〜の方にすっかりはまってしまった。「おいらが死んで逝っちまったら~」という曲だが、すっとぼけた明るさがあって実によい曲だ。基本はアコースティックギター、そこにマンドリンが加わり、最後はウー・ラ・ラーのハーモニー。これ、ロニー・レインが歌っているでしょ? といっても疑わないほどFaces度満点の曲です。

 検索してみたら、実に音楽愛に満ちたブログを発見。その方によると、この曲はシングルカットされ、全英2位にまでなったらしい。さらに日本盤も出ていてそのタイトルが何と「死」。さらにはこの曲はStatus QuoやDef Leppardもカバーしていた(さすがに後者はぼくにはつらかった)。

 いわゆるあか抜けない音楽なのだが、その朴訥とした感じが実にいい。カックルさんがかけたBodang Buckは、リンゴを彷彿とさせるドタドタドラムにポールがロッキー・ラクーンを歌っているかのようなビートルズ・フォロワーな曲。

 1曲目はLazy afternoon。タイトル通り、多少ブラスをかませたところもまさにキンクス的な脱力感ただよう名曲。3曲目や6曲目はマスウェルのHolidayのような、ボードヴィル調の明るくもどこかもの悲しい風情のよく出た曲。4曲目はポールのラム・オン。こうした60年末のイギリスのロックのコクをしっかり取り込んだ曲が並ぶ。7曲目のようないたってひかえめなハーモニーを前面に押し出した曲もよい。

 そして最後はギャラガー&ライルのInternational。メアリ・ホプキンも歌っている定番。

 時代を代表するアルバムとは言い難いし、スターダムにのし上がって一世を風靡したわけでもない。しかし、それよりももっと大切な日常的なポピュラリティがこのアルバムにはあって、愛さずにはいられない。仕事帰りにふとパブによってビールを飲みながら憂さを忘れて心から楽しめるような曲ばかりだ。ビートルズとFacesとニック・ロウをつなぐような、ブリティッシュロックにとって、実はとっても大事なアルバムなのではないかという気がしてきた。