Willie Wright, Telling The Truth (1977)

telling_the_truth.jpg レコファンで久しぶりにジャケ買いした一枚。しかも宣伝文には「フォークソウル」、「激レア再発」と書いてある。さらには5インチヴィニールシングルのおまけ付き。この文句とフェティッシュ感についひっぱられ、まったく聞いたことのないミュージシャンだったが、たまにはそんな音源にも触れてみようということで購入。

 最初聞いたときは、確かにフォークというか音数が少ないというか、一言で言ってチープ。いろいろ調べてみると「自家録」のように制作したとのこと。しかも声が脱力しまくり。もう少し力入れて歌ってくれてもと、少し食い足りないところもあった。

 だが裏ジャケには次のように書いてある。

-これはディスコミュージックではありません。
-世界中の大人のために制作されました。
-ティーンエイジャーにはこのアルバムはあまりにlyricallyでつらいものがあるでしょう。特に普段ファスト・ミュージックしか聞いてない耳には。
-でももしギターサウンドに入れこんでくれればきっとこの音楽を楽しめることでしょう。

 確かに77年という年を考えれば、まったくダンスとは無縁の、極端に音数の少ないソウルミュージックが世間に受け入れられるはずはない。

 だが、このアルバムを聞いてみると、実はソウルという基本はありながらも、カリプソや、ボサノヴァのようなワールドミュージックのアプローチが見られ、なかなか懐の深い音楽作りをしていることがわかる。

 また一曲Curtis Mayfieldの社会派ソウルをカバーしているとはいえ、基本的には個人的で内省的な曲や、ラブソングが多いようだ。失恋をした友だちをなぐさめたり、またシングルにはAfricaという曲があり、自らの家族、ルーツへのまなざしが歌われている。

 レコード屋にふらっとはいって、たまたま丁寧なリイシュー作業によって再発されたCDと出会い、30年以上も前に吹き込まれた音楽に感動する―歩いて、目に入って、手にとって、レジでお金を払う。そんなアナログ感から音楽への愛がふつふつとわいてくる。Jackie's Songの冒頭「ウー、ダディダディダー」というハミングがずっと頭の中を流れている。