研究会1

テーマ:臨床と教育
開講日程:2018年度 秋学期 木曜日4時限
担当教員:國枝孝弘
使用言語:日本語 授業形態:ディスカッション
履修者選抜:【受入予定人数】15人
受入予定人数を超えた場合の選考日程・選考方法:A41枚程度の志望理由書を18年3月10日(土曜日)までにメール添付で担当教員に送付のこと。
連絡先
研究会Webサイト:http://kunieda.sfc.keio.ac.jp/(当サイト)

概要
 臨床と聞くと医療分野を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし教育においても臨床はとても重要な営みです。教育における臨床とは、学んでいる人にしっかりと寄り添い、その人自身も普段は意識をしていない内面における声にならない声をしっかりと聞き取ることを意味します。  
 たとえばある効果的な学習方法があるとしましょう。その方法で95%の人がスキルを身につけられるとしましょう。このようなケースにおいて、臨床における教育は、95%を100%へと精度をあげていく教育ではありません。そうではなく5%のこぼれ落ちるかにみえる学習者のために、彼らに寄り添い、一般化できない学びに言葉を与えていくことが臨床の目的です。  
 個々の学習者にとってかけがえのない体験を意識化する=個別性を認識することこそ、これからの教育に求められていることだと考えています。もちろん教育は個人的な体験だけにとどまりません。むしろ自分が変わってゆくなかで、自分と他者、自分と異なる世界との関係をどう作り上げていくか、「異なるものとの関わり方」にも必然的に目を向けてゆくことになります。例えば異文化間教育の意義もこの点にあります。  
 この研究会では「学習者によりそうこと」を臨床と名づけ、人々の学習の道程に付き添って、観察し、そして人々の学びの継続の意義の深さを研究することを目指します。  担当者の教育分野は外国語ですが、それ以外の分野についても研究計画書で判断して、研究会の他の学生と協働しながら進められると判断すれば、選考の対象とします。 17年秋学期の4年生の卒業論文テーマは以下の通りです。

・高校における第二外国語学習と異文化理解能力の関係についての考察
・イタリア人の長期日本滞在を例にした、長期的異文化接触の意味付け


主要参考文献
・学びそのものについて
大田尭(2013)「大田堯自撰集成. 1, 生きることは学ぶこと : 教育はアート」藤原書店
佐藤学(1995)「学び その死と再生 」太郎次郎社
フレイレ、パウロ(1979)「被抑圧者の教育学」亜紀書房

・教育臨床学について
田中智志(2002)「他者の喪失から感受へ : 近代の教育装置を超えて」勁草書房
田中智志(2012)「教育臨床学 〈生きる〉を学ぶ」高陵社書店
佐藤郡衛「臨床という視点からの異文化間教育研究の再考 - 「現場生成型」研究を通して -」 (『異文化間教育 35』2012)

・異文化間教育について
フランシス・カルトン「異文化間教育とは何か」 (『異文化間教育とは何か』くろしお出版)
國枝孝弘「大学で多言語を学ぶ意義」(平高史也・木村護郎クリストフ編『多言語主義に向けて』第3章 くろしお出版 2017)
中島智子「異文化間教育研究とインタビュー法」 (『異文化間教育 35』2012)
中野敦「『つながりの実現』を目指した外国語教育の実践 - 駐日韓国文化院世宗学堂『中高生のための韓国語講座2010』 -) (『異文化間教育 35』2012)

・方法論について
横川博一、定藤規弘、吉田晴世編著『外国語運用能力はいかに熟達化するか』(松柏社 2014)(第11章)
竹内理、水本篤編著『外国語教育研究ハンドブック』(松柏社 2014)第IV部 質的研究の基礎と展開
木下康仁『グラウンデッド・セオリー・アプローチー質的実証研究の再生ー』(弘文堂 2012) (第4章 第4節、第5節)

過去の研究成果

卒業制作

2017年度
折井伸之輔「日本で生活するイタリア人の異文化接触の経験 - 解釈的現象学的分析(IPA)による長期的異文化接触の意味付け」 
小林由佳理「高校における第二外国語学習と異文化理解能力の関係についての考察」

2016年度
松浦麻衣子「慶應義塾大学SFC所属のスペイン語初学者の学習目的意識と継続意識に関する質的調査」
山下耕志郎「生成教育がもたらすもの−hippo family clubでの実践例−」

2014年度
藤谷悠「タンデム学習活動の実践・分析・考察 他者との恊働によって開拓される自己と言葉の学び」

2013年度
大迫茉奈「フランス語初学者の為の自律的な学習環境作り~単語学習の事例から~」
木村理香「フランス語学習者のための読解補助・コラム教材制作から考えるフランス語教育」

2012年度
古橋薫「リズム・グループ、イントネーションから学ぶフランス語」

2010年度
伊藤景子「仏語学習者向け ネイティブスピーカーの速度に耳を慣らすためのリスニング教材」

修士論文

2017年度
藤谷悠「日仏国際結婚家族の元に生まれた子どもの ライフストーリー調査 :「ひきこもり」視点からの複言語・複文化性の捉え直しと「移動」概念の再定義 」

2011年度
村田幸治「映像と音声に特化した外国語学習教材の開発と環境の構築」

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